ベルギーにて その2
ブリュッセルの街を歩きながら、バーバラさんが興味深いことを話してくれた。
「私の両親が今深刻な病気で苦しんでいる。この先長くないかもしれない。そのせいでここのところ自分の調子も良くない。」
「ヨーロッパ人は『死』ということに向き合わないで生活している。私は死ぬのが怖い。死ぬことを考えるのが嫌だ。日本人のタカ(僕)とは違う」
バーバラさんはなかなか強烈なキャラクターで言いたいことはハッキリと口にするし、自分の権利とかに関してもはっきり主張する人だ。
死ぬことはみんな怖いだろう。だけどここまではっきりと僕には口にはしにくい。なぜなら、心のどこかで「死」をポジティブにとらえたいという気持ちがあるからだ。「死」を完全にネガティブなものとしてとらえきることは逆に怖くてできない。
バーバラさんに限らず、ヨーロッパの人々の中で「死」というものに目を向けた際に仏教や東洋の文化に興味を持つ人がいるようだ。
アムステルダムでお世話になったジュリアさんもそうだ。彼女は仏教に改宗した。「なんのために生きているの?」「なぜ死ぬの?」と自問し、答えを得るために仏教を勉強しているという。彼女はアムステルダムで皆で瞑想や仏教に関する勉強をするサークルに所属している。僕もアムステルダムで参加させてもらったが、とにかく彼らはとても真面目だ。(詳しくは「アムステルダムにて…」に書きます)
バーバラさんいわく、なんでも理詰めで考えるように教育されてきて、そのせいで考えることがありすぎて、頭がいっぱいいっぱいになるんだそうだ。
ヨーロッパ人が皆そうであれば、脾系がおかしくなるのもよくわかる。
経絡指圧の師である故増永静人先生は常々
「考えてはいけない、感じるんだ」
言っていた。ブルースリーも映画で言ってたね。
「 Don’t think… Feeeeeeeel 」
僕が確信を持って言えることは、施術中に起こる、共鳴や、Synchronization は、僕と患者を平穏でピースフルな状態に導いてくれる。
野口整体の創始者、野口晴哉先生も自身の著書にちょくちょく「 愉気している時は自分も心地良い」的なことを書いている。
「愉気 」とは簡単にいうと手を当てて気を注入することをいう。
全てがデジタル化していく時代の中で、「Feel」を大切にしたい。となんとなく感じている。